本文へ移動⚠ 熊本地震で被災された方へ — 水がなくてもできる歯磨き・入れ歯の対処(軽量ページ)

令和8年熊本地震2026年7月28日 16時27分 発生

被災された方へ
水がなくても、お口は守れます

車の中で夜を過ごされている方へ——まず、足の血のかたまりにご注意ください。 そのうえで、断水していても、歯ブラシがなくてもできることがあります。 避難所の方も、ご自宅や車の中で過ごされている方も、 いまを乗り切るために必要なことだけをまとめました。

本文の最終更新:2026年8月1日 00:37
一般社団法人 日本オーラルヘルス協会 お口の防災プロジェクト

政府は7月31日夕方の第4回対策本部会議で、40度に達する酷暑が予想されるなか、車中泊をされている方の熱中症とエコノミークラス症候群(深部静脈血栓症)を課題として挙げました。ガソリン切れでエアコンが使えない方、十分な水を手に入れられない方がいることにも言及されています。車中泊をされている方は、下記の「車中泊の方へ」を必ずお読みください。同じ日に熱中症対策に関する関係閣僚会議も開かれ、避難所の冷房機器や電源車の確保が進められています。停電はいったん復旧し、当面は電源車による供給が続きます。断水は続いており、給水車の稼働が広がっています——給水所の場所と時間はお住まいの市町村の情報をご確認ください(下記「停電・断水・給水所」のリンク先)。燃料油の供給を増やす取り組みも進んでいます。避難生活が長引くことを見据えて、被災地の外のホテル・旅館などを自治体が借り上げる取り組みも始まりました。熊本県内の21市町村に災害救助法が適用されています。余震も続いています。水が十分に使えない状況を前提に、「水がほとんどないときの歯磨き」もあわせてご覧ください。

出典:首相官邸 令和8年熊本地震の対応状況(7月31日17時20分時点・第4回非常災害対策本部会議/熱中症対策に関する関係閣僚会議)/内閣府(防災担当)災害救助法の適用について

命に関わる症状があるときは、迷わず119番へ。

強い胸の痛み・呼吸の苦しさ・意識がもうろうとする・高い熱が続く——このような症状は、 このページの内容より優先して救護班または119番にご相談ください。

まず、これだけは — 水も物資もないときの優先順位

口の中は、1日1回でも変えられます

いまは水も電気も足りず、口のことは後回しになって当然です。それでも、1日に1回、口の中をきれいにできるかどうかで、その後の体調は変わってきます。歯ブラシがなくても、水がほとんどなくてもできることがあります。

被災生活で口の中の清潔が保てなくなると、肺炎(誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん):口の中の細菌が唾液や食べ物と一緒に誤って肺に入って起きる肺炎を含む)や、細菌性肺炎・インフルエンザなどの感染症、そして持病の悪化のリスクが高まると考えられています。口の健康管理は、全身の健康管理の一部です。

  • ① 水を飲むこと・体を冷やすことが最優先です。口のケアのために飲む水を削らないでください
  • ② 歯ブラシがあるなら、水がなくても磨けます(水なしで磨いてティッシュで拭き取るだけでも効果があります)
  • ③ 歯ブラシがないなら、ハンカチ・ティッシュ・ウェットシートを指に巻いて歯を拭いてください
  • ④ 入れ歯は、外せる環境があれば1日1回は外して洗ってください
  • ⑤ 口が渇く・痛い・食べにくいと感じたら、我慢せず伝えてください。避難所では救護班・保健師へ。病院や介護施設にいる方は看護師・介護職員へ。歯のことで困っているときは、歯科医師会に電話すると、近くで対応できる歯科の情報が得られることがあります

水分・塩分を制限されている方へ

心臓・腎臓の病気(透析を受けている方を含む)や肝臓の病気などで、主治医から水分や塩分の量を指示されている方は、その指示を優先してください。以下の「水分を我慢しないで」という案内は、そうした制限のない方に向けたものです。判断に迷うときは、救護班・保健師・薬剤師に、お薬手帳を見せながらご相談ください。

車中泊をされている方へ — まず、足の血のかたまりにご注意ください

余震が続くなか、建物の中で眠るのが怖くて車を選ぶのは、自然な判断だと思います。車中泊が悪いわけではありません。ただ、車の中で過ごすときには知っておいていただきたい危険があり、それは避ける方法がわかっているものです。

エコノミークラス症候群(深部静脈血栓症)とは

狭い座席で長時間足を動かさないでいると、足の血の流れが悪くなり、血のかたまり(血栓)ができやすくなります。これが肺の血管に飛んで詰まると、命に関わることがあります。2004年の新潟県中越地震では、車中泊をされていた方に多く起こったことが知られ、以来、国と自治体が繰り返し注意を呼びかけています。熊本県も今回の地震にあたり、熱中症予防・口腔ケアとあわせて予防を呼びかけています。

先にお読みください — もんではいけないとき

片方の脚が腫れている、痛む、赤い・色が変わっている、熱をもっている、左右で太さが違う——このようなときは、その脚をもまないでください。すでにできた血のかたまりが動いてしまうおそれが指摘されています。この場合はもまずに、救護所や医療機関にご相談ください。症状がなくても血のかたまりができていることがあるとされています。迷うときは、もむより先に、ご自分の筋肉を動かす方法(下の1〜3)を優先してください。

  1. 1時間に1度、かかとの上げ下ろしを20〜30回

    座ったままで構いません。つま先を床につけたまま、かかとを上げ下げします。ふくらはぎの筋肉が動くことで、血が流れやすくなります(厚生労働省の資料に示されている回数の目安です)。

  2. 3〜5分歩く/ときどき車の外に出る

    予防としてもっとも大切なのは歩くことだとされています。トイレのついでなど、こまめに車から降りて体を動かしてください。長時間、座席に座った姿勢のまま眠ることは避けてください。

  3. 足首を回す・足の指をグーパーする

    膝を両手で抱えて足の力を抜き、足首をゆっくり回します。足の指を握って開く動きも有効とされています。歩けないときでも、座ったままできる運動です。

  4. ふくらはぎを軽くもむ(上の注意に当てはまらない場合のみ)

    厚生労働省の予防6項目には「ふくらはぎを軽くもむ」が挙げられています。強く押す必要はありません。ご自分で脚を動かせない方については、もむかどうかを含めて、可能であれば救護班・保健師など医療者にご相談のうえで行ってください。

  5. こまめに水分をとる

    水分が足りないと血が固まりやすくなります。トイレを気にして水分を控えるのが、もっとも避けたいことです。※心臓・腎臓の病気(透析を受けている方を含む)や肝臓の病気などで水分量を指示されている方は、主治医の指示を優先してください。

  6. 眠るときは、座ったままにせず足を伸ばす

    座った姿勢のまま眠ると危険が高まるとされています。座席を倒すなどして、できるだけ足を伸ばし、体を水平に近づけて眠ってください。足を少し高くするのも予防のひとつです(ただし、横になると息が苦しくなる方は、楽な姿勢を優先してください)。ベルトをきつく締めない、締めつける下着を避けることも呼びかけられています。

こんな症状が出たら、すぐに相談・受診してください

片方の膝から下が腫れる・痛む・赤くなる——このようなときは、急いで医療機関を受診する必要があるとされています。さらに、胸の痛み、息苦しさ、意識が遠のく——これらは血のかたまりが肺に飛んだサインのおそれがあり、命に関わります。ためらわず救護所または119番へ。

血をさらさらにする薬を飲んでいる方へ

心房細動や血栓症の治療で抗凝固薬・抗血小板薬を飲んでいる方にとって、いちばん大切な予防は薬を続けることです。持ち出せなかった、残りが少ない、飲み忘れているという場合は、早めに救護所・薬剤師・巡回の医療チームにご相談ください。お薬手帳があれば見せてください。手元にない場合も、薬の名前がわかるものや、以前の処方の記憶をお伝えいただければ手がかりになります。

  • 真夏の車内は短時間で高温になります。日陰や風通しのよい場所に駐車し、サンシェード等で日差しを防ぎ、日中はできるだけ車内にこもらないでください
  • お子さんを、短時間でも車内に一人にしないでください
  • 長時間のアイドリングは一酸化炭素中毒の危険があります。前後左右に1台分の間隔をあけて駐車し、こまめに窓やドアを開けて換気してください(熊本市の車中泊避難マニュアル)
  • 携帯発電機やポータブル電源を、車内やテント内で使わないでください。屋外でも排気が入らない場所で使ってください(消費者庁・NITE)
  • 動かない状態が続くと、心身の機能が落ちて「動けなくなる」ことがあります(生活不活発病)。地震の前と比べて歩きにくくなったと感じたら、早めに保健師・救護班にご相談ください

避難所にいなくても、あなたは支援の対象です

物資の配布や保健師の巡回は、避難所にいる方だけのものではありません。ただ、そこにいない方の状況は把握されにくいのが実際のところです。最寄りの避難所へ立ち寄って伝えていただくのが、いまはいちばん届きやすい方法です。病院や介護施設にいる方は、看護師・介護職員にお伝えください。ご自身で行けない・連絡できないときは、ご家族や近所の方が代わりに伝えていただいてかまいません。

車中泊や在宅避難をされている方には、支援も情報も届きにくく、お口のケアも後回しになりがちです。水が少なくてもできることを、この下にまとめています。

水がほとんどないときの歯磨き(約30mlでできます)

コップ1杯の3分の1、約30mlの水があれば歯磨きはできます。断水していても、配給の水を少しだけ回すことで実行できる手順です。

  1. 約30mlの水をコップに用意する

    紙コップに指1本分ほどの深さが目安です。この水は「すすぎ用」なので、最初に全部使わないのがコツです。

  2. 歯ブラシを水で軽く濡らして磨く

    水が乏しいときは、練り歯磨き粉は使わないほうがすすぎの水を節約できます。歯と歯ぐきの境目、奥歯のかみ合わせ面を中心に、1本ずつ小刻みに磨きます。

  3. 合間に歯ブラシの汚れをティッシュで拭き取る

    磨いている途中でこまめにブラシの汚れをティッシュやガーゼで拭き取ると、少ない水でも汚れを口に戻さずに済みます。

  4. 残りの水を2〜3回に分けて口に含み、すすぐ

    一度に全部の水を使わず、少量ずつ2〜3回に分けて口に含み、頬を動かしてブクブクしてから吐き出す、を繰り返します。

歯ブラシがないときは、ハンカチやティッシュ、ウェットシートを指に巻き、歯の表面を前歯から奥歯へ順にこすって歯垢(プラーク:歯の表面につく細菌のかたまり)を拭き取ります。口腔ケアシート(歯みがきシート)は1回1枚、面を替えながら「歯の表 → 裏 → かみ合わせ → 歯ぐき・頬の内側」の順で拭くと効率的です。洗口液(マウスウォッシュ)があれば併用すると汚れが落ちやすくなります。

使える水の量ごとの目安
使える水歯がある方入れ歯の方
まったくない乾いた歯ブラシで磨き、汚れをティッシュで拭き取る。歯ブラシがなければ布やウェットシートを指に巻いて拭く外して、布やウェットシートで汚れを拭き取る。乾燥で変形するため、湿らせた布で包んで保管する
ペットボトルのキャップ数杯上と同じ手順で磨き、最後に少量を口に含んですすぐ拭き取ったあと、少量の水を流しかける
約30ml(コップ1/3)本ページの4ステップで磨ける水を張った容器で洗える。洗浄剤があれば使う
十分にあるふだんどおりの歯磨きをふだんどおりの洗浄・保管を

洗口液と液体歯みがきは別のものです

「洗口液(マウスウォッシュ)」は口をすすいで吐き出すもので、水が乏しいときのすすぎの代わりになります。一方「液体歯みがき」は歯磨き剤の代わりで、口に含んですすいだあとにブラッシングが必要です。容器裏の使用方法欄で見分けられます。どちらも、歯ブラシや布で汚れを落とす作業の代わりにはなりません。また、飲み込まないでください。お子さんが使う場合は、ノンアルコールのものを選び、大人が見ていてください。

この手順の位置づけ

少ない水での歯磨きは、自治体や関係学会が災害時向けに紹介している方法をもとにした「次善策」です。災害時の有効性を検証した研究が確立しているわけではありません。水と洗面所が使える状況であれば、通常どおりの歯磨きを優先してください。

真夏の被災生活 — 口の渇きは、脱水のサインかもしれません

飲む水を、我慢しないでください

「トイレに行きたくないから」と水分を控えると、口が乾いて細菌が増えるだけでなく、脱水や熱中症、エコノミークラス症候群(血の固まりが血管に詰まる病気)のリスクも高まります。飲む水と、お口をきれいにする水は、削らないでください。※ただし、心臓・腎臓の病気などで水分量を指示されている方は、主治医の指示を優先してください。

こんなときは、すぐに救護所か119番へ(熱中症のサイン)

めまい・立ちくらみ、頭痛や吐き気、体が熱いのに汗が出ない、まっすぐ歩けない、呼びかけへの受け答えがおかしい——このようなときは熱中症が進んでいるおそれがあります。涼しい場所へ移り、首の周り・わきの下・脚のつけ根を冷やしてください。自分で水が飲めない、意識がはっきりしないときは、ためらわず救護所または119番へ。

唾液には、口の中の細菌を洗い流し、粘膜を守るはたらきがあります。真夏の避難生活では、汗による水分の喪失、水分を控えること、暑さと不安によるストレス、そして薬の影響が重なって唾液が減り、口の中がねばつき、痛みや口臭、飲み込みにくさが出やすくなります。

  • こまめに少量ずつ水分をとる(一度に大量に飲むより、回数を分けるほうが体に残ります)
  • 口が乾くときは、口腔保湿ジェルがあれば薄く塗る。なければ、水で口を湿らせるだけでも違います
  • 唇が乾いて切れるときは、リップクリームやワセリンで保護を
  • ふだんから食事や水でむせる方には、一度にたくさん飲ませないでください。上体を起こして少量ずつが基本です。むせが続くときは、とろみ剤などが用意できないか救護班・保健師にご相談ください

入れ歯(義歯)のこと

被災地で実際に多いのは、「入れ歯を失くした」よりも「入れ歯が合わない・痛い」というお困りごとです。地震は食事の時間帯以外に起きることが多く、そのとき入れ歯は口の中に入っていないことが少なくないためです。合わないまま使うと粘膜に傷ができ、食べられなくなって体力が落ちていきます。

  • 痛い・合わないときは、無理に使い続けず、救護班や保健師に「入れ歯が合わなくて食べられない」と伝えてください
  • 外して保管するときは、フタがしっかり閉まる食品用の密封容器に水を入れて。ジッパー付き保存袋を二重にしても代用できます
  • ティッシュに包んで置くのは避けてください。ゴミと間違えて捨てられる事故が最も多いパターンです
  • 1日1回は外して、水で洗ってください。洗浄剤があれば使ってください

外せない・洗えないのは、あなたのせいではありません

避難生活で入れ歯を外さない・洗わない理由の多くは、外しても入れる容器がない、置く場所がない、人目が気になって外せない、両手が使える流水の洗面所がない——といった環境の問題です。避難所を運営する方は、保管容器の配布と、入れ歯を洗える場所の確保をあわせて進めてください。

高齢のご家族・持病のある方がいる場合

飲み込む力が弱くなっている方、要介護の方、持病のある方は、被災生活の影響を受けやすいグループです。ご本人任せにせず、1日1回「お口を見せて」と声をかけ、食後のケアと保湿を手伝ってください。

  • 食事中にむせることが増えていないか(配給のパンや水でむせることがあります)
  • 食事の量が減っていないか、食べるのに時間がかかるようになっていないか
  • 口の中が乾いていないか、口内炎や入れ歯による傷ができていないか
  • 発熱、痰の増加、なんとなく元気がない——これらが重なるときは、早めに救護班(医療)に相談してください

床に座って、床に置いた皿へ猫背で首を伸ばして食べる姿勢は、むせやすくなります。段ボールを重ねて簡易のテーブルをつくるなど、できるだけ姿勢を整えて、あごを引いて食べられるようにしてください。

歯が痛い・腫れた・詰め物が取れた — 歯科に行けないとき

被災地では歯科医院が休診していたり、道路が寸断されて行けなかったりします。ここでは、受診できるようになるまでのあいだ、悪化を避けるために知っておいていただきたいことをまとめます。痛みや腫れの原因は口の中を見ないと分からないため、このページで治し方をお示しすることはできません。

やってはいけないこと

痛む歯の穴に薬や消毒薬を詰める、痛む場所を温める、市販薬を説明書きの用量を超えて使う——これらは症状を悪化させるおそれがあります。特に「虫歯の穴に鎮痛薬や家庭薬を詰める」方法がインターネット上で紹介されることがありますが、歯の神経や粘膜を傷めるおそれがあり、おすすめできません。

  • 痛む側で噛まないようにし、熱いもの・冷たいもの・甘いものを避けると刺激が減ります
  • 詰め物や被せ物が取れたら、捨てずに保管してください。受診時に使えることがあります
  • 手元の市販の鎮痛薬を使う場合は、必ずその薬の説明書(用法・用量・してはいけないこと)を確認してください。ぜんそく・胃潰瘍・腎臓や肝臓の病気がある方、血をさらさらにする薬を飲んでいる方、妊娠中の方、お子さんは、自己判断で使わず、救護所・薬剤師・保健師にご相談ください
  • 口の中が汚れると悪化しやすくなります。痛む場所を避けず、やわらかい力でていねいに清掃してください

早めに相談してください

顔やあごまで腫れが広がる、熱が出る、口が開けにくい、飲み込みにくい、清潔なガーゼで10〜15分押さえても出血が止まらない——このようなときは、様子を見ずに救護班・医療者にお伝えください。息が苦しい、意識がはっきりしないなど、命に関わる状態のときは119番へ。

大規模災害では、発災からおおむね数日以降に歯科の支援チームが避難所等を巡回します。避難所の運営本部・救護班・保健師に伝えておくと、こうした巡回につながります。避難所以外にいる方は、歯科医師会に電話すると、近くで対応できる歯科の情報が得られることがあります。保険証を持ち出せなくても、氏名等の申告で歯科を受診できる特例措置が過去の大規模災害では設けられています。

避難所を運営する方・支援に入る方へ

口腔ケア用品の配布と同時に、「使える環境」を整えることが要になります。歯ブラシだけが配られても、水場がなければ使われません。

  • 歯ブラシ・口腔ケアシート・洗口液・保湿ジェルを、居住スペースに届く形で配布する
  • 入れ歯を洗える場所(流水・両手が使える・人目が気にならない)を確保し、掲示する
  • 入れ歯の保管容器(食品用密封容器やジッパー付き保存袋)を配る。被災者1人1枚でも効果があります
  • 在宅避難・車中泊の方にも物資と情報が届く経路をつくる
  • 食事量の減少・むせ・発熱がある方を把握し、保健師・医療チームにつなぐ

歯科医療者の方へ

発災直後の数日から1〜2週間、現地で動けるのは、一緒に被災した地元の歯科医療者であることがほとんどです。まずご自身とご家族・スタッフ・自院の安全確認と、自院の再開に向けた対応を最優先にしてください。そのうえで、周囲の避難者を地元自治体とともに支えることが、この時期にもっとも力になります。外部からの支援は、都道府県の保健医療福祉調整本部を通じた要請と調整の枠組み(JDAT等)で動くのが原則です。

よくある質問

Q.水がなくても歯磨きはできますか?

できます。コップ1杯の3分の1、約30mlの水があれば磨けます。歯ブラシを軽く濡らして磨き、途中でブラシの汚れをティッシュで拭き取り、最後に残りの水を2〜3回に分けてすすいでください。水がまったくないときは、歯ブラシで磨いてティッシュで拭き取るだけでも意味があります。

Q.歯ブラシがありません。どうすればいいですか?

ハンカチ・ティッシュ・ウェットシートを指に巻き、歯の表面を前歯から奥歯へ順にこすって汚れを拭き取ってください。口腔ケアシート(歯みがきシート)があれば、面を替えながら「歯の表 → 裏 → かみ合わせ → 歯ぐき・頬の内側」の順で拭くと効率的です。避難所の物資担当や救護班に、歯ブラシがないことを伝えてください。

Q.入れ歯を失くしました。どうすればいいですか?

「入れ歯を失くして食事が噛めません」と早めに伝えてください。避難所であれば救護班・保健師・運営本部へ、病院や介護施設にいる方は看護師・介護職員へ。ご自宅や車の中にいる方は、歯科医師会に電話すると、近くで対応できる歯科の情報が得られることがあります。噛めないまま我慢すると食事量が減り、体力が落ちてしまいます。大規模災害では歯科の支援チームが応急対応を行い、その後の本格的な治療・調整は地域の歯科医療機関に引き継がれます。

Q.入れ歯が合わなくて痛いです。使い続けても大丈夫ですか?

無理に使い続けないでください。合わない入れ歯を使い続けると粘膜に傷ができ、かえって食べられなくなります。被災地で最も多いお困りごとのひとつです。救護班や保健師に「入れ歯が合わなくて痛い」と伝えて、歯科の巡回や相談窓口につないでもらってください。

Q.入れ歯を入れる容器がありません。どう保管すればいいですか?

フタがしっかり閉まる食品用の密封容器に水を入れて保管するのがおすすめです。ジッパー付き保存袋を二重にしても代用できます。中身が見えて名前も書けるので、取り違えや紛失を防げます。ティッシュに包んで置くのは、ゴミと間違えて捨てられる事故が最も多いパターンなので避けてください。

Q.避難所で口が渇いて痛いです。どうすればいいですか?

まず、水分を我慢しないでください。こまめに少量ずつ飲むのが効果的です。口腔保湿ジェルがあれば薄く塗り、なければ水で口を湿らせるだけでも違います。唇が切れるときはリップクリームやワセリンで保護してください。痛みが続くときは、救護班や巡回の看護師に「口の中が乾いて痛い」と伝えてください。

Q.車中泊をしています。気をつけることはありますか?

いちばん注意していただきたいのはエコノミークラス症候群(深部静脈血栓症)です。1時間に1度かかとの上げ下ろしを20〜30回、3〜5分歩く、こまめに水分をとる、座ったまま眠らず足を伸ばす——これらが国から呼びかけられている予防法です。あわせて、真夏の車内は高温になるため日陰に駐車し日中はこもらないこと、長時間のアイドリングは一酸化炭素中毒の危険があるため前後左右に間隔をあけて換気することにもご注意ください。

Q.ふくらはぎのマッサージはどうやればいいですか?

厚生労働省の予防6項目に「ふくらはぎを軽くもむ」が挙げられており、強く押す必要はありません。ただし、片方の脚が腫れている・痛む・赤い・熱をもっている・左右で太さが違うときは、もまないでください。すでにできた血のかたまりが動くおそれが指摘されています。症状がなくても血のかたまりができていることがあるとされるため、迷うときはもむより、かかとの上げ下ろしや足首回しなど、ご自分の筋肉を動かす方法を優先してください。ご自分で脚を動かせない方については、可能であれば救護班・保健師にご相談のうえで行ってください。

Q.血をさらさらにする薬を飲んでいます。避難中に気をつけることは?

いちばん大切なのは、薬を続けることです。持ち出せなかった、残りが少ない、飲み忘れているという場合は、早めに救護所・薬剤師・巡回の医療チームにご相談ください。お薬手帳があれば見せてください。手元になくても、薬の名前がわかるものや以前の処方の記憶が手がかりになります。運動や水分摂取も大切ですが、服薬の継続に代わるものではありません。

Q.高齢の家族が食事のときにむせるようになりました。

配給のパンや水など、被災地の食事はむせやすいものが少なくありません。まず食べる姿勢を整えてください——床に座って猫背で食べるのは避け、段ボールを重ねた簡易テーブルなどで高さをつくり、あごを引いて食べられるようにします。むせが続く場合や、発熱・痰の増加・元気のなさが重なる場合は、早めに救護班(医療)に相談してください。

Q.薬や持病があります。口のケアは関係ありますか?

関係します。口の健康管理は全身の健康管理の一部で、被災生活で口の中の清潔が保てなくなると、感染症のリスクが高まり、持病が悪化しやすくなると考えられています。血圧の薬や睡眠薬などの影響で口が渇きやすくなることもあります。なお、心臓・腎臓の病気などで水分や塩分の量を指示されている方は、その指示を優先してください。お薬手帳を持っている方は、巡回の医療チームや薬剤師に見せながらご相談ください。

Q.子どもの歯みがきはどうすればいいですか?

水が少ないときは、大人と同じ約30mlの手順で磨けます。歯磨き粉は使わないほうがすすぎの水を節約できます。仕上げ磨きができる年齢のお子さんは、保護者が声をかけてあげてください。

Q.避難所で子どもにお菓子やジュースが配られます。虫歯が心配です。

支援物資では菓子パンやジュースなど甘いものが届きやすく、歯みがきが十分にできない状況と重なるため、災害時は子どもの虫歯のリスクが上がりやすいと言われています。物資を断る必要はありません。「食べる時間を決めて、だらだらと食べ続けない」「食べたあとに水で口をゆすぐ、または布で歯を拭く」だけでもリスクを下げられます。

Q.歯が痛いのに歯医者が開いていません。どうすればいいですか?

痛む側で噛まない、熱い・冷たい・甘いものを避ける、口の中を清潔に保つ、という範囲でしのぎながら、早めに相談先を探してください。虫歯の穴に薬や家庭薬を詰める方法がインターネット上で紹介されることがありますが、歯や粘膜を傷めるおそれがあるためおすすめできません。顔やあごまで腫れが広がる、熱が出る、口が開けにくい、飲み込みにくいときは、様子を見ずに救護班・医療者にお伝えください。

Q.詰め物が取れてしまいました。

取れた詰め物や被せ物は捨てずに保管してください。受診時に使えることがあります。取れた部分は汚れがたまりやすいので、やわらかい力で清掃を続けてください。自分で接着剤などを使って戻すことは避けてください。歯科の巡回の情報は避難所の運営本部・救護班・保健師へ、近くで開いている歯科をお探しの場合は歯科医師会にお尋ねください。

Q.歯科の支援はいつ受けられますか?

大規模災害では、発災からおおむね数日以降に歯科の支援チームが避難所等を巡回します。避難所の運営本部・救護班・保健師に伝えておけば、こうした巡回支援につながります。応急的な対応の後、本格的な治療は地域の歯科医療機関に引き継がれます。保険証を持ち出せなくても、氏名等の申告で歯科を受診できる特例措置が過去の大規模災害では設けられています。

Q.支援を求めるのは迷惑ではないでしょうか?

迷惑ではありません。口の困りごとを伝えることは「わがまま」ではなく、災害関連死を防ぐための正当な医療ニーズの申告です。「困りごと+してほしいこと」を1文ずつ伝えると通じやすくなります(例:「噛めない」+「やわらかい食品がほしい」)。伝える先は、避難所であれば救護班・保健師、施設であれば看護師や介護職員です。歯のことは、歯科医師会に電話すると近くで対応できる歯科の情報が得られることがあります。一度断られても、物資や巡回チームは日ごとに変わるので、翌日また別の担当者に伝えてみてください。

避難所・断水・支援の最新情報

避難所の開設状況、断水・停電の状況、支援制度などの最新情報は刻々と変わります。 当ページでは扱わず、公式の情報源をご確認ください。 以下のリンクは2026年8月1日 00:37時点で接続を確認しています。

停電・断水・給水所

給水所の場所と時間は、お住まいの市町村が発表しています。上の「避難所・避難情報」のリンク先(熊本市は防災情報ポータル)にあわせて掲載されています。給水を受けるときは、水を入れる容器をお持ちください。

歯のことで困ったときの相談先

歯科医師会では、近くで対応できる歯科医院の情報が得られることがあります。ただし発災直後は電話が混み合い、すぐにつながらない場合があります。避難所にいる方は、まず救護班・保健師にお伝えください。

さらに詳しく

このページについて

本ページの内容は、一般社団法人 日本オーラルヘルス協会「お口の防災プロジェクト」が 公開している実務資料および災害時緊急ガイドからの再構成です。 各手順の根拠・出典は、災害時のお口のケア(緊急ガイド)および実務資料に明記しています。

本ページは一般的な健康管理の情報提供であり、個別の診断・治療方針を示すものではありません。 症状がある場合、持病の治療中の場合は、救護班・医療機関にご相談ください。

地震の諸元(2026年7月28日 16時27分M7.1/ 最大震度7/震源:熊本県熊本地方)は気象庁発表によります。

本ページは出典を明記いただければ、避難所での掲示・配布・報道での引用に自由にご利用いただけます。